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"I don't stop it even if anyone refused my behavior." "Why are you so selfish ?" "Of course, because I am a hypocrite."
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 声が、聞こえた。
 公園の小学生たちにとって暑さはストレスにならないらしく、今日もセミ取りやサッカーに興じていた。
すげーなー元気だなーと思いつつ俺は空になったペットボトルをゴミ箱に放る。
ガラゴロと音を立ててペットボトルはゴミ箱にきっちり入ってくれた。今日は良い日かもしれない。

朝の天気予報で言っていた通り、地面が融けそうな暑さだった。
暑い日は冷房の効いた公共スペースでうたた寝をするのが昔からの俺の習慣であり、大学に入ってからは大学の図書館がそれに最も適していた。
故に俺の足は本来そちらへ向くはずだが、それではあの人に確実に捕まる。
たまにならいいが、ここ数日ずっとあの人に振りまわされていたのでそろそろ休みが欲しい。

というわけで今日は駅前のショッピングモールに行くことにしたのだ。
しかも入るのはあえて自宅と反対側の入り口から。やるからには万全を尽くす。
俺があの人を避けようとしていることには気づいているはずなので、大学の学食くらいまでは読んでいるだろう。
だから俺はその一手先、二手先を行く。今日、俺はあの人を超えるのだ。そしてうたた寝をする。涼しげな休憩スペースで一日を眠って過ごす。

いつも図書館の入り口の外で待ち受けていたが、今日は入口を前にしても現れる気配がない。
これ勝ったよあの人居ないよやったよ寝れるー!と勝利を噛みしめながらショッピングモールに笑顔で入ると、
「やあ。こんな所で会うなんて奇遇だな。」
…どうやら、三手先まで読まなければならないらしい。
 
「何で分かったんですか、ここが…。」
「いや、突然君がここに向かっているような気がしたんだ。これは私もとうとう超能力者になれたということで良いんだろうな?いやーそうかついにか私は嬉しいぞ嬉しすぎて君にこの青汁をやろううまいぞ飲めさあ飲め飲み干せ飲み尽くせ。」
「どこから突っ込んでいいのかわかりませんが、とりあえず青汁はいただきます…。」
水の量を間違えたと思われる青汁は二倍濃縮だった。精神的に肉体的に、色々な苦みが喉を流れていった。
「まあ、いつもの通り今日の活動場所に行く途中で君を見つけ、来る場所のあたりをつけて先回りしただけなんだがな。」
「じゃあなんで青汁飲ませたんですか…。」
ついでに言うと何故超能力者祝いが青汁(二倍濃縮)なのかもよくわからないが、大学でもその変人っぷりで有名な先輩なので、そこら辺は考えないことにしている。

ちなみに彼女に淡い恋心を抱いていた友人はある時「ピポノポペルスこわい」とだけ書かれた謎のメールを俺に送り付けた後3日間講義を休み、復帰後から『見ているだけなら無料』という言葉は彼女から生まれたのだとする持論を声高に訴えるようになった。
そういえば最近、奴は俺を憐れむような目で見るようになったな。お礼に今度先輩とゆっくりお話しする機会を与えてやるとしよう。
「…というわけで、今日は神社だ。許可はもらってあるからなー。」
「ん…あ、すみませんもう一回お願いできますか?」
「今日の活動は神社だ。掃除しつつ何か感じたら私に報告してくれ。もちろん許可はきっちり取ってある。行くぞ。」
丁重にお断りしたいところだが、見つかった時点で俺の負けは確定している。
これ以上被害を拡大しないためには、もう諦めるしかない。
心のスコアボードに棒を一本足して正の字を作り、俺は先輩に大人しくついていった。
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