忍者ブログ
"I don't stop it even if anyone refused my behavior." "Why are you so selfish ?" "Of course, because I am a hypocrite."
[1]  [2
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

mixiの三題噺コミュニティに一時所属していた時の作品を流用。
これを投稿したらぼかぁ旅行に行ってきます。

タイトル:雪うさぎさんと僕



「おはよう…ああわかった、起きるよ、有難う」

 僕の一日は雪うさぎさんのモーニングコールで始まる。彼女の風鈴のような声は心地よい目覚めを僕にもたらしてくれるが、年が明けてまだ一月も経っていないこの季節には少し寒く感じる。勿論そんなことは口にもおくびにも出さず、犬のように従順に僕は起きて服を着替え、テーブルに向かう。

 テーブルにはもう朝食が用意されている。これも雪うさぎさんのお手製だ。今日はトーストとベーコンエッグに飲み物は牛乳。これらを黙々と口にしつつ、僕は新聞を手にとって眺める。新年気分はもうとっくに薄れたけれど、一つ増えた年の表記はなんとなくまだ見慣れない。

 そういえば今年はうさぎ年だった。年男ですねと雪うさぎさんには言われたけれど、神社という場所に縁の無い僕には殆ど関係のないことだった。

 ちなみにうさぎ年にかこつけてプレゼントを渡そうとしたが、やはりと言うべきか、丁重にお断りされた。雪うさぎさんの身体的特徴から僕が勝手につけて呼んでいるこの呼び名は、どうも精神面には当てはまらないらしい。恐らく雪うさぎさんは寂しくても死なないだろう。そんなようなことを言ったところ、心が温まったら融けて居なくなってしまいますからね、と返された。

 こういった皮肉とジョークの間のようなやり取りで僕に勝ちを譲ってくれないところが、雪うさぎさんの数少ないナンテンと言えるだろう。上手いことを言ったつもりである。

 朝食を終え、私室を出る。蜘蛛の巣のように張り巡らされた道も、十年ちょっと同じルートで通っていれば慣れるものだ。迷うことなく右へ左へと歩き、十分少々で仕事場に着く。

 逆に言うと、この仕事場と私室を繋ぐルート以外を僕は使わない。何度か違うルートを歩いてみたことがあるが、ことごとく蜘蛛の糸のような粘性のある糸の塊でふさがれていた。興味本位で手を突っ込んで絡めとられ、危うく取れなくなりかけたこともあるのでもう五年ほど前からやっていない。

「さて、今日の仕事は?ああこれと…これか。そうそう、昨日済ませておいたこれ、ちゃんと出来ているかチェックを頼むよ。そうそれ。よろしく。」

 仕事場では雪うさぎさんから今日の仕事の指示を受け、雪うさぎさんに完成した書類を渡す。内容は読書感想文から会計処理まで多岐にわたる。それらを全てこなし、雪うさぎさんにチェックをしてもらってオーケーが出ればその日の仕事は終わりだ。このような業務形態の関係上、仕事上がりの時間はある程度前後する。今日は比較的量が多い日だったのでかなり時間がかかった。

 仕事を終えるとまた同じ道を通って私室に戻り、これまた雪うさぎさんお手製の夕食を食べ、その後特にすることがなければ寝る。

 以上が僕の一日だ。代わり映えのしない日々だが、雪うさぎさんが居てくれるおかげで飽きることはない。また朝の雪うさぎさんの声で起こされることを楽しみに、そろそろ寝るとしよう。おやすみ。



被検体No.11120号 睡眠状態を確認

結果サルベージ中...完了

被検体フォーマット中...完了

サポートシステムフォーマット中...完了

被検体No.11120号 起動します

レディ?  Y


「被検体No.11120号、午前6時になりました。起床して下さい。」
「おはよう…ああわかった、起きるよ、有難う…君は?」
「私は本実験において、被検体のサポートを担当する、WR-11120DZです。」
「長い名前だな…あだ名をつけてもいいかい?」
「ニックネームを使用して頂くことに関して実験規定では特に明記されておりません。」
「んじゃあ構わないってわけだ…雪うさぎさん、君は今日から雪うさぎさんだ。」
「新しい呼称を記憶しました。…何故雪うさぎなのですか?」
「白い肌と赤い目なんて、人間相手じゃお目にかかれないからさ。」
PR
 祖父は死んだ。

 祖父は死んだのだ。それを僕は思い出す。

 暑い夏の午後、むせ返るような煙と緑、整然と並んだ石の前で、唐突に僕はそれを思い出した。

 祖父は小説家だった。どこだかの賞を取って華々しくデビューし、多くの作品を世に送り出した。いくつかはドラマにもなったし、映画にもなった。葬儀には多くのファンが詰めかけた。祖父の小説で多くの人が涙し、祖父の死にも多くの人が涙した。未だに実家にはファンレターが届くし、今の時期には祖父の本が本屋の店先に並ぶ。たくさんの他人と、文字と文学に愛された、そんな祖父だった。

 しかし祖父は孤独であった。祖母を早くに亡くし、偏屈な性格を疎んで父や母は祖父を遠ざけた。その癖金だけは持って行ったのだから逞しいものだと思う。親族が一様に祖父の顔色を窺い、同時に忌み嫌う中で、僕は祖父が好きだった。いや、この言い方は間違っているかもしれない。僕は祖父の居る場所の空気が好きだったのだ。

 祖父は一日のほぼ全てを書斎で過ごしていた。常に机に向かい、難しい顔をして小説を書いていた。僕はその書斎の本を適当に手に取り、読むわけでもなくぱらぱらとめくっていた。祖父が文字を書く音と、僕が本をめくる音以外の全てが柔らかなヴェールに包まれ、世界から遠ざけられているようだった。祖父は小説を書くときも、それ以外の時もほとんど喋らなかった。僕も祖父と何かを話そうと思ったことはなかった。あの部屋の暖かなひとときだけが、僕の祖父に関わる全てだった。

 誰に何を言うことも、何を書き残すこともなく、祖父は静かに息を引き取った。祖父が遺したのは作品と多額の財産だけだった。財産だけは親族が根こそぎ持っていった。祖父が暮らした家は、祖父の名を冠した記念館になった。それだけだ。それだけが、祖父の全てなのだ。

 目の前には祖父の墓がある。ファンが供えた花が瑞々しく光を返し、線香が煙を上げている。僕も手に線香を持っていた。手元から上る煙を見ながら、僕は思う。きっとこの線香とやらは、記憶を呼び起こす力を持っているのだ。でなければ、普段全く思考の外にある祖父の事をこれほど思い出しはしない。でなければ、こんなに感傷的な気持ちにはきっとならない。だからこれは、きっとこの線香とやらのせいなのだ。ここに線香を置いて、家に帰る頃には何もかも忘れて明日の仕事について考えているに違いない。今、このとき、この場でしか浮かんでこない感情。であるならば、今は、今だけは、その感情に流されてもいいのかな、と、そんなことを考えた。


 祖父は死んだ。

 祖父は死んだのだ。それを僕は思い出す。

 そして祖父と共にあった、あの暖かな世界を思い出す。

 暑い夏の、いのちの匂いに満ちた、煙たい午後のことだった。
風が、吹いている。
目覚めると、そこは布団の上だった。そこに違和感を覚えずもう一度布団に潜り込む。そして飛び起きた。最後の光景、いや最期であったのではないかという光景を思い出す。突然現れた谷、目の前にあった崖、そして暗転。そして気づく。自分の身体を見回してそれを確認した。服が違う。和装?それに傷がなさすぎる。崖から落ちたのに何故?ならあれは夢か?いやでもこの状況は一体何だ?思考が回る。頭が回りきらないままで思考だけが回るから、疑問が浮かぶばかりで答えが何一つ見えない。それでも空転する。空転して空転して空転して、
リセット。全ての思考を無理やり止めて平常を取り戻す。
目覚めると、そこは布団の上だった。和室の真ん中に布団が敷かれており、周囲は床の間+棚、ふすま、ふすま、障子。障子は外の光をややふんわりと透過し、程よく取り込んでいる。障子の側に自分の荷物と服もあった。そういえば掃除の時下ろし忘れたな、と思い出し心の中で苦笑する。色々と思うところはあるが、とりあえずはこの疑問を解決しなければ始まらないだろう、と結論付ける。ここはどこだろう。
 
とりあえず、汚れた(と思われる)服が替えられていて、かつ荷物が奪われていないことから危険はないだろうと推理小説を参考にした稚拙な予想を立て、布団を丁寧に折って立ち上がった。特に痛みもなく、苦もなく立ち上がることが出来た。疑問は尽きないが、複雑骨折で動けないという本来必然な結果よりはよっぽどいい。とりあえず障子を静かに開ける。障子の先には縁側。縁側の外側は庭とでも呼ぶべきか、草一つ生えていない地面があり、更に奥に目を向ければそう遠くない位置から森になっていた。明るいけれど、暑くはなく、太陽が見当たらないことから明け方だろうと時間にあたりをつける。耳を澄ませば、人の声がかすかに聞こえる。俺はそちらに向かって歩き出した。一つ目の角を曲ったところで、それは女性の鼻歌であることがわかった。二つ目の角を曲ったところで、俺は二つの事実を確認した。
ひとつは、自分が居たこの場所が先ほどまで掃除していた神社とは別の神社であったということ。もうひとつは、鼻歌の主が俺と同年齢かそれ以下の女の子だったということだ。
斜め後ろの俺に気づかず、調子外れでも物凄く上手でもない鼻歌を歌い、箒片手に境内を掃除するその女の子は、正月によく見るようなバイトの巫女さんのような格好をしていた。通常見る紅白ではなく青と白という微妙に外した色を使っているあたりで片仮名四文字の言葉を連想したが、その思考は危険だと思いあわてて打ち消す。とりあえず起床後初めて見つけた人間なので、彼女に聞けば現状はある程度把握できるだろうと思い、声をかけようと近づいて、
前のめりにぶっ倒れた。
俺、縁側。彼女、境内。
二人の間には段差があった。忘れていた。
ぶっ倒れた音に気付いて彼女が振り返る。
俺、境内。彼女も、境内。
二人の間の物理的な段差は消えたが、突然目の前にぶっ倒れている男が居た時の心理的な段差は計り知れない。
「お、はよう、ございます?」
俺を見下ろす彼女から、若干引きつりながらの朝の挨拶。
突然地面とのキスを余儀なくされた俺は混乱を無理やり落ちつけようとして、
見上げる彼女へ返答すべく口を開き、
「うむ、おはよう。」
滅茶苦茶偉そうだった。
  忍野忍「した、い」

阿良々木「したいことってたくさんあるけど、実際出来ることってそうないよな」

戦場ヶ原「阿良々木君、私で良ければいつでも指を舐めさせてあげるわよ」

阿良々木「したいと思ったこともねぇよ」

神原駿河「したいことを実際するためには口に出して決心するのが一番よいのだ」

阿良々木「あー、確かに口に出すとよしやるぞって気になるかもしれないな」

神原駿河「私は女の子の肢体が見たいぞ」

阿良々木「あられもない欲望を吐露するな」

戦場ヶ原「私は阿良々木君の『したい』が見たいわ」

阿良々木「どちらの意味だったとしてもお前にだけは絶対に見せない」



  忍野忍「ネ、コミ、ミ」

阿良々木「不謹慎ながら、羽川のネコミミは猛烈にかわいかったな」

戦場ヶ原「そんなにネコミミが良いなら私もつければいいのかしら」

阿良々木「お前はもう猫だろう。気まぐれだし慣れたと思ったら引っ掻くし」

戦場ヶ原「何を言っているの阿良々木君。私は蟹よ」

阿良々木「まあそりゃあ羽川が猫ならガハラさんは蟹だろうけど」

戦場ヶ原「私は蟹。常に前を向いて生きているわ」

阿良々木「格好いいーっ!?」
 非公式サークル『異世会』の目的は、違う世界にたどり着くことである。
 先輩曰く、
「人がいっぱい居たら、誰かそこに入口があることに気づくだろう。だから人の居ない所に入口があるに違いない。」
だ、そうだ。
 故に、非公式サークル『異世会』の活動は、町内の人気のない場所の調査である。

 より正確に言うなら、人気のない場所のお掃除である。

「場所をお貸しいただき、ありがとうございます。」
「いやいや、誰も来ないからねぇ。本当に給料とか要らないのかい?」
「はい、私たちの活動として場所をお借りする以上、掃除くらいはさせて頂かないとこちらとしても申し訳ないですから。」
「すまないねぇ。この前も公園の空き缶を全部拾ってくれただろう?あれ、主婦会の人が随分有り難がっていたよ。また頼めるなら頼みたいくらいだってさ。」
先輩と宮司さんが和やかに話している。活動の内容が異世界探しだと聞いたらたいそうお引きあそばされるに相違ないが、町内の皆さまからは実にありがたいことにお掃除ボランティアのように思われているらしい。ああ、自己解決って素晴らしい。
「それじゃあ、僕はちょっと出かけるから。よろしく頼むよ。」
そう言って宮司さんはバイクに乗って颯爽と出かけていった。借りる方も借りる方だが貸す方も貸す方だと思ったのは俺だけだろうか。俺だけだろうな、この状況を見てるのは当事者と俺だけなんだから。にしたって神職の人がバイクってどうなの、バイクって。
 
「よし、じゃあ私はこっちをやる。君はあっちを頼む。何か見つけたら知らせてくれ。」
自分を取り巻く状況、それに慣れてきた自分、双方にげんなりしている俺をよそに、先輩は目を爛々と輝かせて分担をし、意気揚々と奥の社務所の方へ入っていった。
「さて、それじゃあ俺もやるか…ん?」
箒を手に取り一応のやる気を出していると、視界に一瞬黒いものがよぎったような気がした。なんとなく視線を左へ向けたが、あったのは木と去年の秋からとっちらけであろう枯れ葉だけだったから、多分野良猫の尻尾でも見えたんだろう。
 
 夏の暑さは衰えを見せず、木陰でも快適とは程遠かった。稀に吹いてくる風だけが唯一の救いだったが、いくら望んでも中々やってこない風は人間の手懐け方を心得ているななどと先輩に毒されたような思考が持ち上がってくる程に風は中々吹いてはくれなかった。
 箒をせっせと動かしながら、俺はぼうっと別のことを考えていた。いや、考えていたのかもわからない。色々な単語や気持ちが心の中をぐるぐると渦巻いているのをぼんやりと眺めて、それに触れない程度の距離で手を伸ばしているような、ひどく曖昧な思考。
 そんな状態からはっと気付いて顔をあげると、周囲はどっちを向いても森という状況になっていた。
「うわ…迷ったかな。」
独り言に対する回答はなく、一種の混乱状態のままでとりあえず一歩二歩と進んだ。
 
進んで、しまった。
 
 ふっ、と身体が軽くなる感じがした。
 次に何故、と疑問を抱き、その間に身体は前のめりに傾いだ。
 眼球は目の前の情景を正確にとらえて脳へと送る。
 そして俺は再び疑問を抱いた。
 さっき四方を見回したときはどっちを見ても木、木、木だった。
 いくら混乱していてもそれくらいは見間違えるはずもない。
 ならば何故、目の前にこんなにも開けた谷が口を開けているのか。
 ならば何故、自分は崖から転げ落ちようとしているのか。
 解決し得ない疑問を処理すると同時に、頭のどこか端の部分が冷静に思う。
 ゆるやかに傾いていく自分を客観的に観察しているこの状況。
 これを俗に、走馬燈と言う。
 知ってるよ、とつっこみを入れる暇もなく、俺の視界と意識は暗く沈んでいく。

 光を失う前の刹那、今となっては本当かどうか確かめることは出来ないが、ひと際強く。
 風が吹いたような、そんな気がした。
プロフィール
HN:
503(ゴマダンゴー)
性別:
男性
自己紹介:
当ブログは元のさやに収まりました。
詳しくは最新の移転に関する記事をお読みください。

twitter
時折つぶやく。
最新コメント
[10/24 マグ後輩]
[11/14 503]
[11/13 Nagashima ぱんだ@減量シマス]
[11/08 503]
[11/08 nkb-]
ブログ内検索
バーコード
パシャッと一発、私の人生丸裸。
忍者ブログ [PR]

テンプレートに使用されている画像の再配布は一切禁止します。
phot by m+j / template by nt.syu-chan.net